「日記」を研究する

日記は人や社会の考えを知る上で貴重な資料となりうる。

ただし、人が自分のためにつけている日記をそのまま他人が入手することは容易ではなく、かなりの準備や工夫によって改善される。調査として日記を書くように要請し、必要に応じて面接をおこない日記データを入手する方法がある。書いてもらう日記も、必要最低限の条件を提示する方法もあれば、書き方や書く内容(構造化)、分量を指定して書いてもらう方法もある。日記に書かれたものは研究者が求めているものになるとは限らず、日記の書き方に関するトレーニング期間が必要な場合もある。

日記によって、日々の微細な気持ちの変化や、対面では人に言いにくいことを読み取ることも可能である。インタビューでは特定のことを思い出してもらう形になるので、イベントが生じた直後や毎日日記をつけるように指示された日記であれば、微細な気持ちをとらえることが可能である。

 

方法論に関する書籍としては下記を参照。

アンディ・アラシュフスカ、2006、(川浦康至・田中敦訳、2011)『日記とはなにか――質的研究への応用』誠信書房

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